斉藤のどか
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2024年3月 予算審査特別委員会① 小児医療費助成制度について

公約のなかでも大きく掲げた18歳までのこども医療費の無償化に挑戦しました!

川崎市の場合、子どもの医療費は小学校3年生まで無料。小学校4年生から中学3年生までは受診の度に500円の一部負担金が徴収され、中学を卒業すると大人と同じ3割負担になります。

県内の他の自治体と比べると、ものすごく遅れています↓

川崎市も、他都市と同じように18歳まで医療費を無料にしてほしい。これは市民からの切実な願いで、私たちは代表質問で毎回取り上げているのですが、いつも同じ答弁が返ってくるんです。今回は、その繰り返しくる答弁について、予算審査特別委員会で詳しく質問しました。

感想としては、言いたいことは言えたけど…って感じ😅もちろん前進するような答弁は一切なく、果たしてこの質問をした意味はあったのか?と自問しました。でも議論をするなかで、「次はここを突っ込みたい!」という点も見えてきたのでそういう意味では収穫がありました。

質問しながら、福田市長も名指ししたのですが、こっちみてくれなかった😿局長さんもどうやら険しい表情だったみたいで…別に行政側を責めたり、悪者扱いしたりしているつもりではないのですが、そう受け止められちゃったかな?とにかく川崎で子育てしている人の声を受け止めてほしいという気持ちで挑みました。

議論の内容

以下、正式な議事録ではありません。下線部が答弁です。

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先日の代表質問で、小児医療費の一部負担金について、「持続可能な制度のあり方を考える上では…財源の確保と併せて、本制度の利益を受けない方との負担の公平性や適正な受診を担保するという視点もあり」と答弁がありました。この答弁について、詳しく聞いていきたいと思います。

まず、「財源の確保」についてですが、一部負担金を廃止した場合の影響額はいくらで、一般会計予算の何%に相当するのか伺います。

小児医療費助成制度についての御質問でございますが、一部負担金を廃止した場合の影響額につきましては、 37千万円と試算しており、令和6年度一般会計予算8712億円の約0.04%に相当するところでございます。

川崎市にとって、金額的には本当に小さな1滴です。県内でも川崎市より財政規模が小さい自治体が一部負担金を撤廃しているなか、全国の政令市でトップの財政力を誇る川崎市にできないはずはありません。

次に「本制度の利益を受けない方との負担の公平性」について、「本制度の利益を受けない方」とは具体的に誰をさすのか、伺います。

小児医療費助成制度についての御質問でございますが、本制度の利益を受けない方につきましては、本制度の対象ではない幅広い世代の方や、対象となる方の中でも、 受診の頻度が異なり、本制度の利益を受ける機会が必ずしも一様ではないこと等から、負担の公平性に配慮する必要があると認識しているところでございます。

先ほどの答弁で小児医療費助成制度は「安心して子育てできる環境を確保する上で重要」と言っていましたが、子育て支援策のあり方を考えたときに、ニーズがまったく違う子育てしていない人と比較するのは筋違いだと思います。そして子育てをしている人たち同士の公平性については「受診の頻度が異なり、本制度の利益を受ける機会が必ずしも一様ではない」との答弁でした。うちの子は元気で病院にかかる機会はほとんどないのに、あの子はいつも無料で病院に行って不公平だと感じる人もいる、ということでしょうか?今受診の必要がなかったとしてもいざというときに無料あるいは低額で受診できる安心感はどの子育て家庭にも恩恵を与えるものだと思います。

そして、「本制度の利益を受けない方との負担の公平性」というのであれば、同じ子育てをしている人でも子どもの年齢によって無料だったり、500円だったり、大人と同じ3割負担だったり、本制度の利益が平等に受けられないということの方が不公平ではないですか、伺います。

小児医療費助成制度についての御質問でございますが、子育て支援施策の推進につきましては、出産、子育てから青年期に至るまで、成長発達のそれぞれの段階に応じた支援を、総合的に進めていくことが必要であると考えております。
また、制度の安定的かつ継続的な運用と併せて、低所得世帯への配慮として、市民税所得割非課税世帯については一部負担金を求めないこととしているところでございます

「成長発達のそれぞれの段階に応じた支援」をすすめていくという答弁がありました。高校生にもなると、たとえば部活動の内容も本格的になり怪我のリスクもあります。女子は思春期を経て産婦人科系の悩みも出てくる時期です。適切に治療をしなければ成人してからの長い人生に影響を与え続ける可能性もあり、そういった成長発達の段階を考慮すると高校生も医療費助成の対象にするべきです。

また、保護者からしてみたら、高校生の子どもは食べる量が増えて、物価高騰が容赦ないなか食費が嵩みます。大学受験に向けて塾に通う家庭はその支出も重くのしかかり、その上でさらに大学の学費の貯金もしなければいけません。高校生がいる世帯の経済的負担は膨大で、せめて医療費の助成があればどれほど気持ちが楽になるかと声が寄せられています。

子育て支援であるはずのこの制度が、子どもの年齢によって線引きされている、高校生をもつ親が完全に排除されていることが一番公平性に欠けています。そして市が重視すべき公平性は「負担の公平性」ではなく、親の経済状況に関わらずすべての子どもがお金の心配なく医療受診ができる公平性だと強く指摘します。

次に、一部負担金を取り入れる理由について「適正な受診を担保する」といいますが、「適正な受診」の定義と、一部負担金があることで適正な受診が担保できるとする根拠について、伺います。

小児医療費助成制度についての御質問でございますが、「適正な受診」につきましては、医療機関や市民によって認識は様々であり、何をもって適正と判断するのか明確に定義されているものではございません。
しかしながら、医療保険制度においては、自己負担が軽減される場合には、一般的には医療費全体が増えるとされており、国におきましては、こうした考え方に基づき国庫負担の減額措置を設けていることから、一定の受益者負担により、適正な受診が担保できるという考え方 には合理性があるものと考えております。

適正な受診を担保する、との理由でずっと一部負担金を課してきているのに、「適正な受診」の明確な定義すら持っていないことに合理性はありません。そして、一部負担金が払えず本当に必要な受診を諦めざるを得ない子どもがたくさんいます。「適正な受診を担保する」ための一部負担金が、経済的に余裕のない子どもたちの「適正な受診」を妨げている状態はとても納得できません。

また、国が国庫負担の減額措置も触れていました。これは自治体が医療費を助成すると医療の受診が増えるので、その分のお金は助成をした自治体が払うべきだという考えのもと、医療費助成をした自治体にペナルティーを課すという制度ですが、国は来年度から廃止することを決めました。これはペナルティーがあるにも関わらず、人口比でいうと全国で90%の子どもが高校を卒業するまで医療費を助成してもらっているという現状を受けての決定です。全国的にみても「適正な受診を担保するために医療費を負担してもらう」という考え方はほとんどみられないものなのです。明確な定義も根拠もない、子どもたちの適正な受診を妨げる、全国的にもほとんど例がみられない一部負担金は早急に撤廃するべきです。

最後に他都市の状況についてですが、今後拡充予定の自治体も含めると、県内33ある自治体のうち28が18歳まで完全無料です。それ以外も、中学生までは完全無料です。小学生から負担があるのは川崎市だけです。そして18歳までの拡充も一部負担金の撤廃も、どちらもやっていないのも川崎市だけです。この状況について、どう考えているのか伺います。

小児医療費助成制度についての御質問でございますが、昨年9月の制度拡充により、通院医療費助成の対象を 小学校6年生から中学校3年生に拡大いたしましたので、 引き続き、拡充後の助成状況の分析を行いながら、着実に取組を推進してまいりたいと存じます。
また、この制度は、本来、国の責任において全国一律 の制度として構築するべきであると考えておりますので、 引き続き、他の自治体と連携しながら国に対し要望してまいりたいと存じます。

昨年の3月議会で、子どもの医療費助成制度の拡充が決められたとき、こども未来局長は、「国がやるべきという立場ではあるものの、都市間競争が非常に激しくなってきて、川崎の置かれた状況は、市民にとってみても看過できない状況になった」と発言しています。いまもまさに、市民からしてみたら看過できない状況です。国がやるべきという信念を貫くのはいいですが、だからといってなぜ川崎市の子どもたちが犠牲を払わなければいけないのでしょうか。一部負担金の撤廃と高校卒業までの拡充を強く求めて次の質問に移ります。

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