特養ホーム、もっと必要!2024年12月議会のどか質問①
特養ホームは会派としても重要なテーマ。一般質問で取り上げるのは責任が重く、ためらったのですが「早く特養に入れるように、夫の介護度に上がってほしい」という在宅で介護をしている人の声を聞いてしまった以上、やらなきゃ!とがんばりました。
調査の段階から感じたのは、市との温度差。例えば保育園だと待機児童ゼロを目指している関係で、どういう人が利用申請して、入れなかった人はどうなっているのかデータが詳しくとられていますが、特養ホームに関してはほぼ「集計していません」という感じでした。申請の受付けなども、市がやっているわけではないということもあるでしょうが、危機感がないというか、積極的に課題を洗い出そうとする姿勢があまり感じられませんでした。
代表質問でも特養ホーム問題は結構頻繁にに取り上げていますが、平行線で終わってしまうばかりで、なかなかラチがあきません。こういう問題って心が折れそうになるけど、めげずに頑張らなきゃいけないんですよね。今回のわたしの質問が少しでも次につながるといいな…続きは、先輩に託します!
2023年度に特別養護老人ホームに入居した人の、入居までの待機期間について、3か月以内だった人、4か月から11か月だった人、12か月以上だった人の割合を伺います。また、入居できずに待機中となっている方についても同様に、待機期間別の割合を伺います。
特別養護老人ホームについてのご質問でございますが、令和5年度に入居した方は1,569人でございまして、入居申込時期の割合は3ヶ月以内の方、約50% 4ヶ月から11ヶ月以内の方、約31%、12ヶ月以上の方約19%でございます。また入居申込みの方は令和6年度4月1日時点で2,177人でございまして、入居申込時期の割合は3ヶ月以内の方、約29%4ヶ月から11ヶ月以内の方、約27% 12ヶ月以上の方、約44%でございます。
ディスプレイお願いします。いま答弁してもらった数字を円グラフにしました。左側が2023年度に入居できた人、右側が4月1日時点で入居を待っていた人です。薄い水色が3ヶ月以内の人、その次が4〜11ヶ月の人、一番濃い青が12ヶ月以上の人です。約半数の人が3ヶ月以内に入居できた一方で、入れない人はなかなか入れないーこの差がすごくはっきりと確認できます。とくに、本年4月1日時点で、1年以上待っている人が約44%いることは深刻です。ディスプレイ結構です。
待機期間が3か月以内の人、4か月から11か月の人、12か月以上の人と、それぞれ主にどういう特徴があるのか伺います。
特別養護老人ホームについてのご質問でございますが、令和6年4月1日時点の申込者につきましては、入居希望者側の事情で入居に至らない場合や、医療的ケアの必要性が高く現行の職員体制で対応しきれない事情等、様々な個別の要因により、期間が長くなる場合があると認識しております。
医療的ケアの必要性が高いのも、待機が長期化する理由ということです。介護保険サービスの専門家から、医療的ケアができる施設にもかかわらず、夜間に看護師がいないために受け入れられないケースがあると聞きましたが、そのような実態はあるのか伺います。
特別養護老人ホームについてのご質問でございますが、同施設の指定基準においては、看護職員について、必ずしも常時配置することは求められていないことから、夜間での医療的ケアの必要性が高い方の場合、施設入居が難しいものと認識しております。
医療的ケアを提供している特養のうち、看護師が24時間いる施設がいくつあるかなど、詳細な実態把握と対策をお願いします。
先ほどの答弁では、待機期間が長期化する理由について、入居希望者側の都合、つまり空きができて案内したけれど断った場合、それから医療的ケアの必要性の高いかた「等」ということがあげられていました。専門家によると、要介護3など介護度が比較的低い人は施設の経営の観点からなかなか受け入れられないということもあるそうで、そうした実態が川崎市でもあるのではないかと懸念されます。特別養護老人ホームは公的責任でしっかりと利用希望者が入れるように運用されなければならず、その責任を市として果たすためにも「等」に含まれてる理由もしっかりと精査して待機が長期化する人たちの実態把握により力を入れるよう求めます。次に、特別養護老人ホームの入所を申請したあと、待機している間の介護の状況について伺います。
入所申込者の介護の状況についてのご質問でございますが、在宅、医療機関、介護老人保健施設等の他の介護施設等で各種サービスを利用されているところでございます。
令和4年度川崎市高齢者実態調査の特別養護老人ホーム入居希望者調査によると、特養の入所を待っている人のうち約52%の方が自宅で介護を受けながら暮らしています。主な介護者について、「配偶者」と応えた人は3割と一番多いのですが、この調査はその介護者にも質問をしています。ディスプレイをお願いします。介護をする上で困難や負担を感じることがありますか、という問いに対して8割の方が「感じている」と応えているんです。その中でも「いつも感じている」と応えた人は半数以上で、在宅で介護することがいかに大変か、わかります。また、主な介護者は配偶者が一番多いということで、いわゆる老老介護の状態になっているケースが多いということもわかります。
老老介護がどれほど過酷か、80代の夫さんの介護をしているある方は、ご自身も腰を痛めたときが最悪で、床を這いながら夫さんのケアにあたっていたそうです。この方はとても明るくて強い方なので大変な介護話も笑いながら教えてくれましたが、想像を絶するような過酷な状況で介護をしながら特養ホームの入所を待っている人がいるのではということが、市が行った調査の結果からも推測できます。絶対にあってはいけないことだと思います。
この方は、家の近くの特養がやっているショートステイがすごく助かると言っていました。介護の精神的・肉体的な負担から解放される貴重な時間ですが、川崎市はこうしたショートステイのベッド数を計画的に長期用のベッドへと転換しています。
特別養護老人ホームのベッド数を確保するために、第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画ではショートステイ用のベッドを、いくつ転換したのか伺います。また今年度からの第9期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画ではいくつ減らす予定なのか伺います。
特別養護老人ホームについてのご質問でございますが、特別養護老人ホームの整備手法として、各施設の短期入所生活介護の空床を活用し、本入所へ転換するもので、募集要項を定め、施設から申請書、計画書提出を求め、内容を審査した結果、第8期計画では計画値53床に対して47床の転換を行い、第9期計画では計画値80床の転換を予定しております。
第9期が計画通りにいけば、2021年度から2026年度までの5年間で127床のショートステイを減らすことになります。
令和4年度川崎市高齢者実態調査の特別養護老人ホーム入居希望者調査の内容をいくつか紹介します。ディスプレイお願いします。
・2023年10月26日~11月30日に行われた調査ですが、9月中にショートステイを利用した人は30.1%
・「在宅生活継続に必要と感じているサービス」について、ショートステイをあげてたのは43.1%
・家族の介護に対して、困難や負担を感じたことがある人のうち、役立つと思うサービスにショートステイをあげたのは76.3%
ディスプレイ結構です。これらの統計からも、ショートステイがどれほど大切なサービスかよくわかります。特養以外の民間施設でもショートステイはやられていると思いますが、市民の福祉に責任を負う自治体が施策の一環としてショートステイを減らしていくべきではありません。ショートステイの削減は見直すよう、求めます。
特別養護老人ホーム入居希望者調査では、特養ホーム以外の施設や住宅に入居する考えがあるかも聞いています。それに対して、6割の人が「特養以外は考えていない」と回答しています。おそらく経済的な理由もあるのだと思いますが、多くの人にとって特別養護老人ホームしか選択肢がないというのが現実です。本年第2回定例会の私たちの代表質問に対しては、ニーズが多様化しているとして、さまざまな種類の施設を整備する旨の答弁がありました。そのニーズのなかに特別養護老人ホームがあるんだとしっかりと受け止めて、必要な人が待たずに入れるよう特別養護老人ホームの新規建設をするよう要望し、次に移ります。