2024年9月議会 のどか質問① 生活保護について
ついに!!!ずっと気になってた生活保護について聞くことができました…!!!いろんな人と話すなかで、想像以上に生活保護に対するネガティブな意見を持っている人が多くてショックを受けていたんです。みんな悪気があるわけではなくて、自分の生活もすごい苦しいなか心に余裕がなくなってしまっているような感じで。生活保護は生存権を保障するための制度です。憲法25条に書いてある「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」っていうやつです。その権利が脅かされている人を責めたり差別的な意識を持ったりすることは、「生存権」という概念そのものを否定することだと私は思います。
川崎市の答弁は嬉しいものもあったけど、いやいや市として生活保護をなんだと思ってるの…???と不安になる要素もいっぱいでした🥲
まずは、5款3項2目扶助費および国民健康保険事業特別会計より、生活保護についてです。
生活保護は、憲法25条に明記されている生存権を保障するための制度です。生存権が脅かされているすべての人が使えるように制度を積極的に運営していくことは、政治・行政の当然の責務です。まず、扶助費の不用額が約18億円と大きいですが、その理由を伺います。また、近年の本市での生活保護の利用申請者数の傾向について伺います。
生活保護についての御質問でございますが、令和5年度予算につきましては、予算編成時の直近の 保護の動向を踏まえて計上したものでございますが、被保護世帯数が減少したこと、被保護世帯全体に占める単身者世帯の割合が上がったこと等の理由により、不用額 が生じたものでございます。
次に、近年の本市での申請者数の増減につきましては、 月ごとに増減はあるものの、おおむね横ばいで推移しておりますが、物価上昇の影響が市民生活の様々な面で生じている可能性もあるため、引き続き状況については注視して、適切に対応してまいります。
被保護世帯数が減少していて、申請者数もおおむね横ばいとのことです。しかしそもそも日本は捕捉率が低いと言われていて、生活保護が使える人のうち実際使っているのは約2割と推定されています。さらに高齢化が進み、この物価高騰のなか、少なくとも申請者数は増えていくのが自然ではないかと思います。つまり生活保護が使えるのに使えていない人が大勢いるのではという懸念があるんです。
制度の利用の壁になりうるもののひとつが、生活保護に対する偏見や差別意識といったスティグマの存在です。国連の社会権規約委員会からも、「日本ではスティグマのために生活保護の申請が抑制されている」と指摘されています。川崎市にもスティグマが原因で利用申請できない人がいるのではないでしょうか?見解を伺います。
生活保護についての御質問でございますが、生活に困窮しているかどうかにつきましては、本人からの申し出がないと把握することが困難なことから、市民の方々にまずは生活相談等をしていただくことが重要と考えております。
そのため、だいJOBセンターにおいて、オンライン相談や区役所に出張相談を行うほか、ハローワーク等関係機関と緊密に連携し、生活困窮者が必要な相談支援につながるよう、広くネットワークを構築しているとともに、日頃から支援に従事する職員の人権意識の醸成を図っているところでございます。
各区保護課につなげる際には、生活保護制度を正しくご理解いただく説明や助言等を通じて、引き続き生活保護の制度利用につながる相談支援の充実・強化に努めてまいりたいと存じます。
職員の人権意識の醸成を図っているとのことですが、職員だけでなく幅広い市民に正しい知識を広げなければスティグマをなくすことはできません。
ひとつ市としてできるのは、生活保護の申請は権利であると周知するポスターの掲示です。生活困窮者に安心を与えるだけでなく、幅広い市民に生活保護を理解してもらうきっかけになります。私たちの会派繰り返しこうしたポスターの制作を求めてきましたが、取り組みとして進まない理由を伺います。
生活保護制度の周知についての御質問でございますが、生活にお困りの方にとって、生活保護の相談は心理的障壁が高いというご意見もありますので、本市におきましては、経済的にお困りの方を含めた生活に関する様々なご相談を「だいJOBセンター」でお受けしておりまして、その中で、生活保護が必要と思われる場合には、各区保護課に適切にご案内しているところでございます。
そのため、より身近な相談窓口として、まずは「だいJOBセンター」をより広く知っていただくことが重要であると考えております。引き続き、「だいJOBセンター」を含め、生活保護制度の周知に努めてまいりたいと存じます。
だいJOBセンターも非常に大事ですが、生活保護は市民の生存権を守る制度で、位置付けがまったく異なります。生活保護そのものの周知も必要です。そして、生活保護の相談は心理的障壁が高いと答弁でありましたが、それはまさにスティグマがあるからです。他自治体のポスターをみると、【例えば杉並区は「収入が少なくて病院に行くのも我慢していた、相談できてよかった」など】希望ある温かい言葉とともに生活保護の申請は権利である旨の表記がされています。生活保護のイメージを変える内容です。ぜひこうした自治体を参考に進めるよう要望します。
次に、生活保護バッシングも大きな問題です。そこでよく見聞きにする意見について確認したいのですが、まず「不正受給している人が多い」という意見についてです。不正受給は、実際全体の何%くらいなのか、伺います。また、意図的に騙しとったなどの悪質なものと、手続き上のミスや勘違いなどによるものの内訳も伺います。他にも「生活保護を受けている人は、働けるのに働かないで怠けている」「私の年金額よりも多くもらっていて、ずるい」といった意見もよく聞きますが、これらに対して、川崎市の見解を伺います。
生活保護制度についての御質問でございますが、被保護者の収入に変更が生じた際には、各区保護課へ 申請をしていただきますが、意図して収入の申告をしないなど、不実の申請その他不正な手段により生活保護を受けたと判断した場合等には、生活保護法第78条に基づきその費用を徴収しており、令和5年度の徴収額は、 1億4,132万674円、適用件数は、352件で、 全被保護世帯数の約1.5%となっております。
なお、収入申告の遅れや単純な手続き上の不備等については、法第63条に基づきその費用を返還していただいております。
次に、就労につきましては、生活保護を受けるために は、就労を含めた能力等をすべて活用することが要件となっているため、各区保護課において、適時稼働能力の 有無を確認し、必要に応じて就労支援を実施しておりま す。
また、生活保護費につきましては、国が定めた基準に基づいて給付するものであることから、御質問にあるような御意見につきましては、いずれも適切ではないと考えております。
不正受給が多い、働けるのに働かずに怠けている、私の年金額よりも多くもらっていてずるい、こうした意見はいずれも適切ではないという答弁でした。重要な答弁です。
こうした意見も含め、生活保護にまつわるスティグマの根源にあるのは、誤った知識や認識です。幅広い市民に対して正しい知識を普及して、スティグマの解消に力を入れるよう要望します。
次に、国民健康保険料の滞納世帯への対応についてです。先ほど「生活に困窮しているかどうかについては、本人か らの申し出がないと把握することが困難」との答弁がありましたが、国民健康保険料の滞納を生活に困窮している可能性を示すひとつのサインとして捉えることができると思います。まず、昨年度の国民健康保険料の滞納について、滞納世帯数と滞納金額の累計である収入未済額を伺います。
国民健康保険料についての御質問でございますが、滞納世帯数につきましては、令和6年3月末現在 24,055世帯で、収入未済額につきましては、令和5年度約26億332万円です。
厚生労働省の「令和2年国民年金被保険者実態調査」では保険料を納付しない理由について7割以上の人が「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と回答しています。国民健康保険は高齢で所得の低い被保険者の多く、同じ傾向があると考えられます。困窮のために国保料を滞納している人を必要な支援につなげることについて、本市は何を根拠にどのように取り組んでいるのか伺います。
国民健康保険料についての御質問でございますが、生活に困窮する国民健康保険の被保険者につきまして は、国からの通知に基づき、納付相談等で確認された場合は、区役所地域みまもり支援センター等の福祉部門へ繋げるなど適切に対応しております。
国からの通知とは、平成21年7月に厚生労働省から出された「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」というものです。被保険者の必要に応じ、生活保護等の相談ができるように国民健康保険の担当部局と生活保護の担当部局の連携強化を図ることなどが挙げられています。
しかしまず前提として、被保険者に対応している職員が生活保護に関する正しい知識を持っていることが必要です。滞納の窓口業務にあたる人は生活保護の受給条件など、研修は受けているのか、伺います。
国民健康保険料についての御質問でございますが、窓口において納付相談に対応する職員につきましては、専門的な知識を要する生活保護の受給条件等の研修は実施しておりませんが、適切に福祉部門へ繋げることが重要であると考えておりますことから、引き続き、各部門が連携し、適切に対応してまいりたいと存じます。
基本的な知識だけでもしっかり習得できるように研修の機会等を設けるよう要望します。
生活保護は、命のとりでである制度です。必要としているすべての市民が利用できる環境の整備は、市民の生存権の保障そのものだと思います。今日取り上げたスティグマの解消、そして国保料滞納者など困窮していると思われる方への対応のみならず、以前から我が会派が求めている扶養照会の廃止、そして基準額の引き上げなど国への制度改善を求めることも併せて要望します。