2024年3月議会 のどか質問② 放課後児童健全育成事業について
すべての小学校に設置されている「わくわくプラザ」は、放課後無料で子どもを預かってくれる施設で、特に共働きの世帯は頼りにしています。しかし、そのわくわくプラザに関する悩みや苦労話がいーーっぱい届き、今回質問することにしました。
内容に入る前に、わくわくプラザの仕組みってすごく複雑なんです。今回のブログ記事には詳しくは書きませんが、複雑なために呼び名がいっぱいあります。質問の中では次の4つの名前が出てきます:
【放課後児童健全育成事業・放課後児童クラブ ・学童 ・わくわくプラザ】
全部同じものを指すと思ってください。(厳密にいうと同じではないのですが)
さて、本題ですが、取り上げた角度は二つあります。まず、わくわくプラザの大規模化の問題。私も実際に、平均で100人以上の子どもが毎日来るわくわくプラザの視察をしましたが、本当にカオス!!!って感じでした。狭い部屋に元気な小学生がいっぱいで、職員はマイクを使って子どもを呼んだり指示を出したりしていました。それでもよく聞こえない。習い事に行くまでの短時間だけわくわくプラザで過ごす子もいて、そうした子どもの出入りのチェックを職員が常に2人体制で行っています。ど素人の私でも、さすがに子どもの人数多すぎて収集つかないよな…とわかるような環境でしたが、実は専門家たちも学童の大規模化の問題を指摘しているので、それについて市に聞いてみました。
答弁は一環して、「大規模化との明白な相関性は把握していない」というもの。しっかり調査するよう要望しました。わたしもこれからも追っていきたいです。
二つ目の角度が、わくわくプラザ以外の預け先がないという問題。子どもが「わくわくプラザに行きたくない」と言い始めたとき、それ以外の選択肢がなくて親が途方に暮れてしまうのです。中には親が仕事を辞めざるを得なかったケースもあり、深刻です。川崎市もわくわくプラザ以外の学童を増やすべきだと主張しました。
いやもう本当に、わくわくプラザをなんとか改善しなきゃ…歴史もすごく奥深くて、20年前にできた施設なのですが、その当初から共産党は反対をしているんです。その反対した理由がいままさに現実になってしまっている感じがして、これをどう良い方向に持っていけるのか真剣に知恵を出し合わなきゃと思っています。わくわくプラザで困った体験談あったら、ぜひ教えてください!情報をください!よろしくお願いします🙇
議論の内容
以下、正式な議事録ではありません。下線部が答弁です。
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わくわくプラザについて、引き続きこども未来局長に伺います。わくわくプラザは親が仕事などで留守の子どもたちに遊びと生活の場を提供する放課後児童健全育成事業、「放課後児童クラブ」あるいは「学童」とも呼ばれていますが、これを兼ねている施設です。毎年利用登録する子どもの人数は増えていて、規模が大きくなっています。ディスプレイをご覧ください。2023年4月時点の各区のわくわくの1日の平均利用人数です。どこも80人を超えていて、一番多い高津区は136 人となっています。
全国学童保育連絡協議会(全国連協)はこのように大規模化した学童がもたらす問題を数々指摘していますが、それがわくわくの現状と一致してると思うのでその角度から質問します。
まず昨年3月に行われた「わくわくプラザの充実に向けてのアンケート」についてですが、わくわくに登録はしているけど利用していない理由として約2割が「子どもがわくわくプラザに行きたがらない」と答えています。この人たちは子どもが行きたがらない理由について、どんな意見を挙げたのか、主なものを伺います。
アンケート結果についての御質問でございますが、主なものといたしましては、「内容等が楽しくない」、 「仲の良い友達が少ない」といった意見があったものでございます。
「内容等が楽しくない」という意見についてです。全国連協は大規模化した学童保育では指導員の目が全体に行きとどかなくなり、「一斉活動が中心となる」「遊びや活動を制限せざるを得ない」と指摘しています。私のもとに実際に届いた声も、「外遊びの時間で誰かが約束を破ってしまったら、みんな部屋に入らなければいけないなど、管理的な面が強かった」「入室してから15分から30分間は人と話してはいけず、宿題するか漫画を読まなきゃいけないという謎のルールがあった」という内容で、 全国連協の指摘があたるのではと思います。「内容等が楽しくない」と感じる背景には、わくわくプラザの大規模化が影響している可能性があると思うのですが、見解を伺います。
わくわくプラザについての御質問でございますが、わくわくプラザの規模と子どもの「内容等が楽しくな い」という意見との間の明確な相関関係につきましては、 把握しておりませんが、子どもの意見を活動内容に反映させるために、月1回程度の子ども運営会議の開催や、 意見箱の設置などをとおして、行事や集団活動の内容、 みんなのルール及びやってみたいことなどの意見を把握し、内容の充実を図っているところでございます。
100人を超える人が利用するわくわくでは、校庭に出て遊ぶのにも、10分ほどかけて子たちに並んでもらい、全員が一斉に出口に押し寄せると危険なため、5人ずつ順番に出ていってもらっていました。校庭に出てからは怪我の防止のためにと準備体操もしていました。普通の学校生活の中でも、家庭での生活の中でも、ただ外に遊びに行くためだけに入り口で順番をまったり準備体操をしたりすることはありません。 ただ外に出て遊ぶだけのためにも、神経を尖らせて細心の注意を払わなければいけない状況です。こうした状況下で内容の充実を図るのも限界があるのではないでしょうか。
次に「仲のいい友達が少ない」という理由についてです。全国連協は大規模化した学童保育では、子どもたちが「騒々しく落ちつけない」「ささいなことでケンカになる」「気のあう数人の子どもだけで過ごす」 などが起こるとしています。実際にわたしのところには、「最初は仲のいい友達と一緒に行っていたけど、その子達が次第にいかなくなり自分の子も行きたくなくなった」「狭い空間で新年度に新しい人が増えるたびに騒がしくなった」「大事にしていたペンケースが鞄からなくなるなどトラブルがあった」という事例が届いています。わくわくプラザの大規模化が、子ども同士が互いにいい関係を築いたり、仲良くなったりしにくい環境を作っている可能性があると思うのですが、見解を伺います。
わくわくプラザについての御質問でございますが、わくわくプラザの規模と子どもの「仲の良い友達が少 ない」という意見との間の明確な相関関係につきまして は、把握しておりませんが、工作教室、絵画教室、スポーツ教室、各種体験教室等、多様なプログラムを実施する中で、仲間づくりに主眼をおいた「仕掛け」を工夫しているところでございます。
国が出している放課後児童クラブ運営指針にはこどもの集団の規模は「おおむね40人以下まで」が望ましいとされていますが、その理由のひとつに「子どもがお互いに関係性をつくれる規模」だからと挙げられています。40人をはるかに超えた子どもが一同に集まるわくわくでは、いくら単発的なプログラムで仕掛けを用意しても、日々の交流の積み上げで生まれてくる子ども同士の友情はなかなか築けないのではないでしょうか。
内容等が楽しくない、仲の良い友達が少ないと感じる意見についてどちらも「わくわくプラザの規模との明確な相関関係は把握していない」とのことでした。大規模化が子どもたちの生活の場にどのような影響を与えているのかしっかり調査するよう、要望します。
また、わくわくプラザ以外で放課後児童健全事業を実施している施設は市内に25箇所しかなく、区によってばらつきもあります。物理的に選択肢にならない場合がほとんどです。またそのうちの12の施設は営利目的で行われていて、毎月の利用料が子どもひとりあたり5万円ほど、夏休みなどの長期休暇中は8万円ほどとなり、多くの家庭にとって経済的に選択肢になりません。こういう状況は保護者にとって絶望的ともいえます。小学2年生のお子さんが「仲のいい友達が行かないから自分もわくに行きたくない」と言い始めたお母さんの例を紹介します。せめて友達が行く日は一緒にわくに行ってもらおうと、先方のお母さんに頻繁に聞くのも申し訳ないと思いつつも、LINEで予定を確認してそれに合わせているそうです。それ以外の日はお子さんはひとりで家に帰ってきます。小2の子が家にひとりでいる時間は心配すればキリがない、戸締りとか徹底しても鍵をなくなどのハプニングがあります。友達と公園で遊ぶ日もあるけど、家でひとりでYouTubeやゲームをしている日もあるそうです。平日はなんとか乗り切っているけど、春休みと夏休みは為す術もなくて恐怖だと言っていました。
このように、わくわくが合わなかった場合、どうしようもなくなってしまうのは問題です。さまざまな子どもがいて多様なニーズがあるなか、わくわく以外の放課後児童健全育成事業を増やして選択肢を広げるべきだと思いますが、伺います。
放課後児童クラブの利用についての御質問でございますが、わくわくプラザの利用児童や保護者からのニーズにつきましては、利用者アンケートのほか、すべてのわくわくプラザにおいて、保護者懇談会の開催や、日常の保護 者とのやりとりなどから把握に努めるとともに、これを 踏まえ取組の充実を図っているところでございます。
放課後児童クラブの利用にあたりましては、それぞれ 事業を利用する子育て家庭が各クラブの特徴や、サービスの内容などを考慮し、選択されているものと認識して おります。
横浜市では川崎市のわくわくプラザに相当する放課後キッズクラブが各学校にあるほか、それ以外の放課後児童クラブも221箇所あり、平均保育料は子どもひとりあたり17,000円となっています 。なぜこれほど選択肢が豊富かというと横浜市は営利目的でない、保護者やNPO団体などが運営する学童を国庫補助金の対象にしているからです。川崎市もこのような体制をとっていれば、声を寄せてくれたお母さんも困ることはなかったのかなと思うととても悔しいです。川崎市はわくわくだけで利用見込み児童数に対応できるからそれ以外の事業には補助金は出さないとしています。しかしいくら数字の上では対応できると思っていても、子どもたちのニーズには対応しきれていません。いま私はわくわくの問題点をいろいろ指摘していますが、わくわくは無料で保育園のように落ちることもなく子どもを預かってくれて、多くの保護者が本当に助かっています。指導員のみなさんも本当に一生懸命やっています。だからこそ私はわくわくの改善を心から求めるとともに、万一それでうまくいかなった子どもと保護者を絶望的な状況に追いつめないためにそれ以外の選択肢も増やすことも要望します。
最後に、川崎市にも保護者が自らお金を出し合って運営をしているいわゆる「自主学童」があります。川崎市はこれまでも下水道使用料の減免措置や廃棄物の社会福祉関係施設等に係る事業系一般廃棄物収集認定による支援などをしていますが、それでも自主学童の運営は非常に厳しい状態です。子どもひとりあたり毎月3万円以上出さなければならず、それでも運営がギリギリで存続の危機に陥っています。自主学童がなくなってしまう事態はあってはならないと思いますが、伺います。
民間放課後児童クラブについての御質問でございますが、それぞれのクラブにおきましては、地域において様々 な運営形態により、スポーツ活動や学習支援など、多様 なプログラムが提供されているところでございます。
本市におきましては、民間放課後児童クラブに対する 助成金の交付は行いませんが、引き続き、下水道使用料の減免措置、当該施設の事業系一般廃棄物収集に係る支援及び各種の情報提供等の施設運営に対する支援をして まいりたいと存じます。
今まで通りの小さな支援だけでは、自主学童は存続の危機を逃れることはできません。自主学童に助成金の交付をしないということは、つぶれてしまっても構わないと言っているに等しいと私は思います。何かしらの理由でお子さんとわくわくの相性がよくなく、なんとか自分たちで生活の場を作ろうとしている保護者の方たちそして子どもたちに背を向けることは絶対に許されないと強く訴えて次の質問に移ります。